中国占星術のルーツは、中国最古の「夏」という王朝があったとされる、四〇〇〇年の昔に遡ります。この時代、あるいはもっと古い時代に算命学の骨格となるものが考え出された、と推定されています。

生命と宇宙のリズム

私たちが世の中に生を受けるとはどういう事なのか、何かと因果関係があるのか。四〇〇〇年昔の人たちは疑問を持ちました。そして、ある事に注目をしました。生まれて来ようが来まいが宇宙や地球は一定のリズムを保って動いている。このリズムの中で私たちは生まれ死んでいくのですから、生命は宇宙のリズムと関係があるのではないかと考えたのです。

十干~自然界の形と質~

地球には一日があって、昼があって夜がある。さらに一月があり一年…という風に宇宙のリズムがあります。また、一年の中には四季があって、春に花が咲き夏には虫が活動し、秋には果実がなり冬には葉が落ちる。人間も生まれてから一年ごとに成長し大人になり歳を取っていく。これらのことは、宇宙のリズムに「質」があるからではないだろうか。

こうして彼らは、宇宙のリズムの中に「質」を探し始めました。人間をはじめ草花など自然界に存在する万物について、宇宙のリズムの中にある「質」が地球上に形となって現れた、と考え大自然を分類しました。そして、それぞれの分類について符号をつけたものが十干です。これらは地球上ではさまざな形になって現れていますから、宇宙の空間のリズムとも言えます。これらはすべて宇宙の「気」、すなわち大自然の運行をつかさどる目に見えない力から出ています。これは人間の意思や力ではどうすることも出来ず、この「気」が人間に見方をする状態を「運」というのです。

十二支~宇宙の時間のリズム~

また彼らは宇宙のリズムについて、木星の周期が十二年であるとの観測から、時間的には十二年ごとに一巡すると考えました。実際に一年を十二ヶ月に別けてみると、生活するのに非常に都合が良かったため、このリズムにも符号をつけました。これが十二支です。この符号は、誰にでに親しまれて使ってもらえるように、身近にいる動物の名を用いました。

宇宙のリズムは、毎年、毎月、毎日のリズムと一致します。空間のリズムと時間のリズムである十干と十二支が、毎年、毎月、毎日に回ってくるのです。十干の始まりが甲。十二支の始まりが子。だから甲子が一番最初にやってきます。次が乙丑、その次が丙寅となります。六十番目に癸亥、そして再び甲子に戻ります。全部で六十通りの組み合わせができ、これが六十花甲子という暦になったのです。

天中殺~宇宙のリズムの落とし穴~

宇宙のリズムである六十花甲子は毎日、毎月、毎年に巡ってきます。このいずれかの日に人は産まれてきます。生年月日の宇宙のリズムがその人のリズムになるのです。

ちなみに、六十歳を祝う還暦というのも、六十花甲子がもともとの始まり。暦が一回りして還るから還暦です。節分や七五三などの行事も、算命学の考え方から発祥したのです。

皆さんがご存じの「天中殺」というのも、算命学の専門用語の一つです。なんだか不気味で不安を誘う言葉ですが、天中殺というのは「宇宙のひづみ」の事です。

十干十二支では、二という数字が半端になってしまいます。十干十二支の組み合わせで生まれる二という数字のズレは、いわば宇宙の不整脈です。この不整脈が天中殺と呼ばれるのです。

天中殺は算命学の原理からすると、運勢の休息期間、休息を取るべき期間と言えます。ここで休息を取らないでいると、夜も寝ないで働くのと同様で運勢にくるいが生じてきます。ですから、天中殺の時に何か新しいことをしても、壊れてしまい成就しないということになります。単に災いが出ることをことさら取り上げて「天中殺だ!」というように使われることは、算命学の立場からすると非常に不本意なのです。

人体図~心の形~

食べたものが血・肉・骨といった身体の一部になったり、エネルギーになったり。こうした人間の生命活動と同じように、生年月日に入ってきた宇宙のリズム「気」も身体を通って別の形として外に出る。算命学では、十二支十干が身体を通って別の形になったものを「星」としました。十干から出てくる十種類の星を十大主星、十二支から出てくる十二種類の星を十二大従星と名付けました。

星という字の成り立ちからわかるように、「日」と「生」つまり「生まれた日」を表しています。生まれた日の星は、自分の心の故郷を表します。

「気」が身体を通って別の形で外に出る時、それは心の現れ…感情や性格となります。感情や性格は心から出てきます。心は、その故郷である「星」を見るとわかります。

ところで、心はどんな姿をしているのでしょうか。四〇〇〇年の昔の中国人は、人間の身体から心が出てくるのですから、心も人間の形をしていると考えたのです。そこで、心の形を人体図と名付けました。人体図の中に、あなたの星が現れることになるわけです。

また、身体は五体、身体の中は五臓で成り立っているので、心の中も五星のはずだと彼らは考えました。そしてもう一つ、人生を初年期、中年期、晩年期に別け、三つの時代を三星で表すことにしたのです。十大主星の五星と十二大従星の三星は、それぞれ以下の様に人体図に配置されます。

人体図の各場所の意味

人体星図

左肩
右手 左手
右足 左足

十大主星

胸は自分の心が出て来るところ。その意味で自分自身。
頭は胸より上。胸が自分自身だから、頭は自分より上の人。つまり親。
腹は胸より下。胸が自分自身だから腹は自分より下の人。つまり子供。
右手 右手は利き腕。いわゆる片腕と頼む人。だから、配偶者。
左手 左手は押さえの腕。自分と同じ立場の人。だから兄弟姉妹または友達。

十二大従星

左肩 ここは最も頭に近いところ。親に最も近いので、親との生活が密接な時期。初年期。
左足 ここは腹に近いところ。腹は子供だから、子供に縁がある時代。中年期。
右足 ここは右手の配偶者ともっとも近いところ。歳を取って夫や妻と二人っきりになる時代。晩年期。

この記事の監修者

朱学院校長佐藤直樹

東京・上野に生まれる
早稲田大学高等学院、早稲田大学商学部卒業
10代より算命学を始め、奥義を習得、さらなる算命学の発展を目指す。